最終更新日 2022/06/05

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102話 農業ギルド設立

12月9日(月曜日)

集団戦イベントから、一夜が明けた。

学校に着くと、教室では昨日のイベントの事を話しているようだった。

昼休み

「結構、学校中が昨日のイベントの話をしているわね。

今日の体育が、隣のクラスと合同だったけど、
先生が来るまでとか、その話が聞こえて来たし。」

「へぇー。みんなしているんだね。」

「そうみたいだよ。

朝食食べている時にニュースで、このゲーム、世界で1億本売り上げたんだって。
妹も私もびっくりだったよ。」

「それで?光矢のポイントはどれだけだったんだ?
俺はお前の提携ポイントが大きかったから、15万近く行ったぞ。」

海人がポイントについて聞いて来た。

「なんか、わたし達って、周りが”全ての区画を賭けて勝負!”って人達ばかりだったから、
結局、本当の意味の戦略イベントにはならなかったわね。」

道下さんが、イベントを思い出しながら話に加わる。

「でも、イベントとか、探索も出来たし、第四・第五エリアは見れなかったけど、
得るものが大きなイベントだったね。」

牧ノ原さんも、イベントを思い出しているようだ。

「まぁ。僕としては、
事態が二転三転する様な事も無かったから平和なイベントと思っているかな。

でも、戦略に長けたクランが今後、多くなれば、
7日で決着ではなくて、倍の14日にするのも面白いとは思うんだけどね。

ちなみに、ポイントは25万4000程だよ。」

「あ〜。それは言えてる。なんで一騎打ちしたがるのかしら?
わたしのポイントは、20万程よ。」

「あははは(苦笑)朱音の言う通りだよね。
もっと、戦略的に動けば、小さなクランも生き残れたかも知れないし。

ちなみに、私のポイントも朱音と同じく、20万程ね。」

「なるほどな。それで、交換だが目ぼしい物あったか?」

海人の言葉で、交換の話になる。

「う〜ん。

今回は、僕が過去に参加したイベントのポイント交換にもあった、
特殊なアイテムが復刻されているみたい。」

「そんなのあったか?」

海人はポイント交換表を思い出している。

「うん。魔王襲撃時の交換表にあった、古龍・龍王の装備素材だよ。

今回は古龍王が追加されているから、今後のイベントに対しての示唆だと思う。」

「むー。つまりは、それらを使わなければ、倒せない程の敵が出て来ると言う事か。」

海人は腕組みして考えている。

「だと、僕は思っているんだけど、以前は有効活用出来そうも無かったから保留にしたんだ。

ただ、今なら、あの時より、駒が揃っているから、そろそろかなと」

「という事は、新装備開発するって事?」

道下さんが身を乗り出して来た。

「うん。今回のイベントで、有用な品が手に入ったし、
それを使えば、以前よりも良い物が出来ると思っているから。」

「ほう。なら、第四エリアのボスを倒せる程にしてくれ。

未だに、ボスを倒したプレイヤーは出ていない。」

「あれ?海人。まだ、第四エリアボスって、未クリア?」

「ん?光矢は知らなかったのか?」

「うん。てっきり、残すは第五エリアボスと思っていたから。」

「そうか。掲示板を見ると、課金で勝とうとしたプレイヤーがいたそうだが、
紙一重で負けて、その後も壁を打ち壊す決定打が無かったようだ。」

「課金でもダメだったんだ。」

「その話は、確か、夏休み前だっけ?

わたしも当時は、勝たせても良いのにって思っていたんだけど、
今なら、簡単に勝たせない、運営の気持ちも分かるかな。

要は、エリアボスを倒す事に集中するのではなく、
周りをよく見て、試行錯誤しなさいという事なのかもね。」

牧ノ原さんが、道下さんの話を引き継ぐ。

「確かに、朱音とかぶるけど、
課金でボスさえ倒せるなら、ゲームとしてどうなの?って思うよね。

でも、運営は、そうではなく、色々な場所に行って、
ボスを倒す方法を模索する様にっていう暗示なのかもね。」

「だな。脱線させたが、装備は光矢に任せるとして、
俺達は、色々と地域を廻って、情報や有用な素材探しでもするか。」

「あ〜。今ので思い出したけど、海人。魔力を含んだ木ってない?」

「う〜ん。魔力を含んだ木?俺は知らないが、メンバーなら知っているかも知れない。
生息地で良いのか?」

「うん。場所が分かれば、自分で必要な量を取りに行くし。
それに、木工スキルを伸ばしたいから。

あと、もし、可能ならレア度3以上の木の情報も頼む。」

「了解した。みんなで手分けして調べてみる。」

この後は、雑談をして昼休みが終わった。

午後8時

今日は、以前にイオさんにお願いした、農業をしている人を紹介して貰う事になっている。

「初めまして!ルシアと言います!

この土地は素晴らしいですね!」

「ごめんなさいね。テンションが高くて」

イオさんが苦笑している。

「いえいえ。ルシアさんは、単独で農業しているんですか?」

「はい!友達も誘ったんですけど、農業ばかりだと楽しめない!と言われてしまいまして。」

「なるほど。先程、中学3年生と聞いたんですけど、来年受験ですよね?」

「そうです。春休み中に、このゲームのCMに農業をするシーンがあったんです。

家が果樹園をしているので、今後の為にも、ゲームがしたかったんです。

そこで、母と話しまして、1学期の成績を去年以上、
夏休みの宿題を前半で終わらせる事を条件に、遊ぶ事を許可して貰いました。

まぁ。母も興味津々だったので、遊びたかったんだと思います(苦笑)」

「ルシアさんの為に我慢していたんですね。」

「ですね。だって、既に本体とソフトを買ってありましたから。
安くなって来てから買ったんだと思います。母もゲーム好きなので。」

「それじゃぁ。本題だけど、高校生になっても続けるんだよね?

だったら、人数集めて、クランやギルドにして貰うほうが、僕としても安心できるんだけど。」

ここでイオさんが、補足してくれる。

「その事なんだけど、農業に興味のある人を募集しようと思っているの。

友達に詳しい人がいて、教育の方は任せてと言っているわ。

ただ、土地なんだけど、調べると国全体的に、栄養分が乏しいみたい。

だから、出来たら、コーヤさんの拠点近くに、作れたらと思っているの。」

「なるほど。確かに僕の5面の畑は、土壌改良したのか、栄養分が高いね。

そう言えば、拠点横に、日当たりが良い窪地があるから、
そこに、拠点と大規模農場を建設出来るんじゃないかな?」

「(マップを見ながら)ここね。そうね。セキュリティをしっかりとすれば出来そうね。
あと、後ろの崖に何か無いかしら?採掘しても大丈夫?」

「構いませんよ。面白い物が見つかったら教えて下さい。

ルシアさん、これで、どうでしょう?」

「はわわわ。なんか、知らない間に話がまとまっているような。
あの、どんな種を持っているんですか?」

「それは、私も興味があるわね。」

色々な種:

いちご5個、日本みかん4個、オレンジ2個、ワイン用ぶどう4個、通常品種のぶどう4個)、
大豆10個、小豆6個、ブルーベリー9個、ラズベリー8個、ブラックベリー4個、胡椒6個、
ひまわり7個、大麦5個、ホップ5個、もち米の稲5個、菜の花5個、ごま5個、オリーブ5個、
????1個


果物の種:

りんご10個、オレンジ8個、ブルーベリー5個、パイナップル9個、梨5個、カリン3個、
あんず6個、さくらんぼ5個、ラズベリー7個、桃6個、ザクロ5個、クワ10個、
ハスカップ8個、ビワ4個、カシス9個


野菜の種:

ニンジン9個、なす7個、いも12個、ダイコン6個、タマネギ8個、長ねぎ5個、
さつまいも8個、レンコン9個、ごぼう4個、トマト8個、きゅうり6個、レタス5個、
かぼちゃ8個、里芋5個

「へぇー。加工品でしか知らない種もあるのね。特に、もち米なんて良いわね。
お餅などで利用できるし。」

イオさんは、種を鑑定しながら話す。

「これをわたしに任せてくれるんですか?」

「ええ。今後、これらを普及させたいと思っています。

それと、イオさん。上の果物のジャムをイベントで使いましたが、
販売しても大丈夫だと思いますか?」

「ああ。あれね。定期的に収穫できるのかしら?
あと、多くの量を定期的に売らなければ行けないけど、その点は?」

「調査した結果、3ヶ月周期で収穫できそうです。

もし、足り無さそうなら、複製すれば良いですし。

それと、出荷量ですけど、国策として売ろうかと思って、
国王様にお願いして工場を建設中です。」

「なら、問題無いと思うわ。」

イオさんが少し考えて答える横で、ルシアさんがそろそろと手を挙げる。

「あのう。守備要員を雇わなければ行けないでしょうか?」

「それは・・・。」

「それは、私達が引き受けるわ。」

僕の言葉にかぶさる様に、後ろから声がした。

「コーヤさん。お久しぶりです。話に加わって良いですか?」

セレサさんが、イオさんとルシアさんの許可を取って話に加わる。

「セレサさん。お久しぶりです。どうしたんですか?」

「ちょっと相談しに来た時に、ちょうどよい話をしていたので。

後ろにある森に移住して4ヶ月程経ちますが、森では日々、鍛錬をしています。

しかし、残念ながら、開けた土地が無いので、皆一斉に行う事が出来ないんです。

しかも、濃い魔力溜まりの影響で、皆、少しずつではありますが、成長しています。

そこで、鍛錬場をどうにか出来ないか?と相談に来たのです。」

セレサさんは、説明を終えると、水を飲んでいる。

「あのう。つまりは、わたしが働く農場の守備を、セレサさんがしてくれるんですか?」

「う〜ん、主に子供達ですね。」

「子供達?」

ルシアさんが、何の事だろうと考えている。

「なるほど。ここで繋がるのね。魔王襲撃時にフィンテルで戦った動物達の事でしょ?」

何かを考えていたイオさんが、納得した顔で聞いて来た。

「そうですよ。セレサさんが、魔王の気配を感知して、加勢に来てくれたんです。

でも、セレサさん。50体程、テイムされたと聞きましたが?」

「ええ。あの森は、常に魔力を蓄えている様です。

その為か、異種族で子が生まれました。

たぶん、これからも増えていくのだと思いますね。」

「へぇー。その様な事があるんですね。」

この後、今後の予定表を作り、来年4月に農場を開設する事になった。

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